密室狂乱時代の殺人

2023/9/16

 

前巻よりよっぽど無理がある

理論上はできるかもしれないけどね?て感じ。トリックが大掛かりすぎて誰かしら気づくだろと思ってしまう。特に建物の天井がギロチンになってたのとか建物ごとクレーンで移動させるとかはいやいや…となった。そんな思いっきりデカい車体ぶつけたあとが残らないほど強いとか、防音とかにしたって気づくだろとか、地面にクレーンの跡が残るだろうとか

あと、大富ケ原が開発した特殊な接着剤、とか特殊な合金、とかがミステリとしてはウ~~~ン、そういう「この世界にはあるんだよ」みたいなのがノックスの十戒に当てはまってて、いや別に当てはまってても良いんだけど「それあり…?」な感じは残る。

最後の叙述トリックはすごく好き。どんでん返しが好き。ただ、最初の島の説明でも思ったけど、無理がありすぎる。海岸線から1メートルのところに50×50センチくらいの石塁、そこからフェンスが生えている。この説明で、えっ?ってなった。砂浜みたいなふにゃふにゃ地盤で30メートルフェンス建てられないでしょ、て。普通この手の絶海の孤島の舞台は周りが切り立った崖で登り降りができない、ていう設定が多いんだけどこれはよく分からないな…と思いつつ読んでたんだけどうん、やっぱり無理あると思う。

あと、あまりにも見立てが突拍子無さすぎる気がする。いきなり「そして誰もいなくなった」の見立てよって言われても。キャラのこじつけも結構無理矢理だし、それまで読んでて「そして誰もいなくなった」の見立てだ、と思える部分が無さすぎて…。だったら、最初に登場人物の過去の犯罪とかを告発して、これは「そして誰もいなくなった」と同じ流れだ!て思わせるとか。そうすれば最後、そして誰もいなくなったの見立て通りだと大富ケ原蒼大依(フィリップ・ロンバート大尉)の死体のそばに男のウサギ人形が落ちてないとおかしい、よって、この殺人だけ犯人は別にいる!ていう流れになりまだ自然かなあ。

 

読みやすいしキャラもわりと人間味あって好きだけどトリックとかに無理があってあまり「気になる!」とはならないんだよなあ。屍人荘の殺人のほうがトリックは気になった、でもキャラはこっちのほうが好き。

硝子の塔の殺人がこの3つの中では1番ライトノベル風は薄いかな。トリックも本格的で良かった。ただ、最後の終わりかたがあまり…だった気がする。作者の夢が入りすぎた気が。